モンテシオンという紙を使っています
私が小学生の頃、先生から渡される紙はもっぱら謄写版で刷られたワラ半紙でした。汗ばんだ手で触るとフニャっとするし、消しゴムで消そうとすると、鉛筆の黒ずみが広がったり、強くこすると穴が空いたりする厄介者でした。先生に言われ謄写版の印刷を手伝った時、手や顔、洋服が真っ黒になったこともあったなーって思い出します。家の書棚にはさほど読書好きでもないのに絵本や図鑑、なんとか全集なるものや文庫本などがあった。年を取った今、昔の本を手に取りページをめくると、本の中身だけでなく、当時の自分の事や、そこから派生するさまざまな思い出までもが蘇ってきます。本の装丁や紙の匂い、紙の質感も相まって記憶の扉を開いてくれているような気がします。
私たちが作っている雑誌「大人のteatime」は、紙の質感を大切に考えています。きっと昔ながらの経験や記憶からそうしているのだと思います。たくさんの紙の中から、今使っているのは日本製紙(株)石巻工場で開発された東日本大震災復興支援商品、モンテシオンという紙です。少しざらつきのあるラフな質感の紙で厚みはありますが、固い紙ではなく、軽くて柔らかな紙質で、ページがめくりやすい特長を持っています。マットで落ち着いた風合いの写真印刷に仕上げてくれるし、半年ほどで色味が変わり始め退色し、時と共に変化する風合いを楽しめることも、この紙を選んだ理由なんです。
上の写真では質感を伝えきれませんが、軽くて柔らかい質感を、是非手に取って感じて頂ければ幸いです。